キミの声を聞かせて。




なっちゃんの一言を合図に、私は部室の前で固まって動かなかった足を無理矢理動かした。


必死で走る。


「聖琉ちゃん……?」


体育館の出入口ですれ違った涼宮君にも気付かないまま、私はいつの間にか校舎を出ていた。


放心状態の私は、景色も色も、なにも見えないはずだった。


下校のチャイムも風の音も、涼宮君の声もなにもかも、聞こえないはずだった。



でも――