手を伸ばせば届く距離。
そこまで近付いてて、気付いているはずなのに、龍心先生は私の方へ向いてはくれない。
声をかけてみようか?
『龍…』
「おはよう、日高。」
『…………。』
言い掛けたのを遮られたと思ったら、めっちゃ笑顔を向けるわけですか。
そういう戦略ですか?
私(生徒)を落としたいんですか?その笑顔は。
『…おはよう……ございます……。』
ちょっとトキメいたのを隠すように、反抗的な目を向けてみる。
「今日は少し風があるなぁ。
湿度が高いから厄介なんだ。」
私を無視して石から降りた先生は、手で顔を扇ぎながらスタスタと歩き始めた。
私のささやかな反抗は完全スルーかよっ!
と心の中で突っ込みながらも、黙って後ろを着いていった。
どこにいくのか、言わなくても分かるから、今日は先生に従おう。


