『おやすみー』
「おやすみ、ねーちゃん。」
大輝は私より先に部屋に戻っていった。
『じゃあ、お父さんおやすみ。』
「あ、美緒!」
パソコンをいじっていたお父さんが急に私を呼び止めた。
少しズレた眼鏡が面白い。
「深くは聞かないよ。深入りはお前もされたくないだろうから。
…急がなくていい。
何事も、ゆっくりでいいんだ。急いで道を見失うな。ゆっくり…確実に進むんだ。」
『……お父さん……?』
「……なんてね!
たまには父親らしいこと言うねって感心したでしょ?」
『………おやすみ!!』
私は階段を駆け上がった。
部屋に入って、体が熱くなっている事に気付いた。
お父さんは、いざとなると本当に頼りになる。
私が欲しい言葉を、いつも分かってくれている。
お父さんの暖かさに、少しだけ感動した。
ゆっくり……ゆっくりでいいんだ。
ゆっくり……。
今は……ゆっくり考えよう。
流れに任せてもいいんだ。
まだまだ中学一年生!!
子供なんだから、なりふり構わず行動しても悪くない。
ただ……
みっちゃんのことどうしようかな……


