俺様ヤンキーにこの愛を捧ぐ

「…やっぱり、杏のセンスはいいな」
『…え?もう一回言って?』

口元がよく見えなかった杏は、龍に問いかけた。

龍はクスッと笑って、杏の方を向くと、もう一度、同じ事を言った。

『杏のセンスはいいな』
『あ‼︎』

目を見開いた杏は、口を膨らませる。なぜ褒められたのに怒っているのか?

「どうした?」
『…手話、使わないで』

「どうして?俺は、杏とちゃんと話しをしたい」
『ダメ。龍は絶対手話を使わないで』

「杏」

その時だった。杏の携帯がブルッと震えた。…メールだ。

杏は、ごめんとゼスチャーすると、メールを確認する。

『…今日の午後四時から、生花用の花を宜しくお願いします。
御影』

…いけない。そうだった。今日の配達がある事を。

『龍、ゴメンね。仕事があるから行くね』

「杏!おい!」

龍の制止を振り切るように、杏は急いで片付けをすると、その場を後にした。

「…御影って誰だよ」

そんな龍の声は、杏には届かなかった。