龍の言葉に、杏は微笑んだ。

『いいよ、どんな感じにしようか?』
「春らしい花がいい。後は、杏に任せる」

『分かった。花の準備が出来次第行くね。でも、わざわざここに来ないで、家で言ってくれれば良かったのに』

そうなのだ。

杏と龍は同棲している。最初、杏は結婚するまでは、一緒に住まないと、頑なに断ったのだが、龍がそれを許さなかった。

龍はもう、片時も杏の傍を離れたくなかった。

互いに離れている間、杏は一人で沢山、沢山苦しんだ。

そんな時に、自分が傍にいられなかった事を悔やんでも悔やみきれない。

また、離れている間に、杏が一人で苦しまないように、龍は杏の傍に居たかった。

「少しでも、杏の顔が見たくて」

龍の言葉に、杏は、顔を真っ赤にした。