俺様ヤンキーにこの愛を捧ぐ

「…結婚の話まで出ているとは思いませんでした。それでは直ぐに答えを出すのは無理でしょう。ですから、少しは待ちます。ですが、またあの様な写真を撮られると私の力でも、もみ消す事はもう出来ません。今後どうすべきなのかしっかり考えてください」

そう言い残して、坂上氏は喫茶店を出て行った。

…、龍との約束の時間は当に過ぎていた。だが、その場から動く事が出来なかった。

雑誌の入った封筒を握りしめ、下唇を噛み締めた。

トントン。

誰かが、杏の肩を叩いた。

そっと振り返ると、そこには龍がいて、杏は益々泣きそうになった。

「杏、どうした?約束の時間が過ぎても来ないから来たんだけど…どうしてそんな辛そうな顔してる?」

心配そうな顔で、杏を見下ろす。

杏はハッとして、封筒を握りしめたまま、作り笑いを浮かべた。

『ごめんね?急なお客様が来て、さっきまで話をしてて』

「…そうか。…指輪を見に行く時間がもう無いんだ。また今度にしてもらってもいいか?」

『うん、私もその方がいいかな…ゆっくり見たいし』

…指輪を買ってしまえば、もう後戻りは出来なくなる。だから、杏は少しホッとした。