目が覚めると、龍の腕の中。

その温もりが大好きで、杏は思わず笑みを浮かべた。


「杏」

いつの間にか起きていた龍が、杏の頬に触れた。

杏も龍の頬にそっと触れる。

「オレとずっと一緒にいて」
『…どうしたの?急に?』

不思議そうに龍を見つめると、龍ははにかんだ。

「結婚しよう、杏」
『…龍』

『オレと一生共に歩んで欲しい』

…突然のプロポーズ。

その言葉に驚きは隠せない。

けれど、

ずっと、いつかいつかと、その言葉を待っていた。

決して、龍を焦らすことなく、ただ静かに。

『…龍、私と結婚して下さい』

そう言って、涙目で微笑めば、龍も嬉しくて、ぎゅーっと、杏を抱き締めた。