「あらあら、亜由寝てるの?

冬季くんごめんね」


「ううん。

亜由、部屋に運んどくね」


「ありがとう」



玄関入ってすぐ左手にある階段を上がって亜由の部屋に行く。


ドアを開けると漫画やらゴミやらが散乱してる。



「汚……」



まぁ亜由らしいけど。


歩く場所を何とか確保しつつ、亜由をベッドに運ぶ。


はぁ……


……………疲れた。


帰ろう。


180度向きを変えて部屋から出ていこうとして、足元にあったものを蹴ったことに気付く。


あ、なんか蹴った。


まぁ大したものじゃないだろ。


そう思って足元を見ると、俺の足元にぬいぐるみが転がっている。


見覚えのあるこれは……俺ら兄弟が昔亜由にあげたヤツだ。


こんなのまだ持ってたんだ。


懐かしいな。


みんなで割り勘して買ったんだっけ。


これ、4人で買った最初で最後の贈り物なんだよな。



「んぅ……?」



やべ。


亜由が起きる。


そっと亜由の部屋を出て、家に戻る。