恋って楽しい?


好きって何?


オレに恋することなんてあるのかな?








「冬ーっっ!!」



返事はせずに顔だけ呼ばれた方向に向く。


名前を呼ばれた方向を見ると見慣れた女が走ってくる。


その女はオレの前で止まるやいなや



「コラ、ちゃんと返事をしなさいっ」



なんて言ってくる。


その言い方はまるでオレの姉貴にでもなったようだ。


まぁあながち違うとも言い切れないような相手だけど。



「別にムシしたわけじゃないからいいじゃん」


「……生意気」


「よく言われる」



春姉よりしっかりしてて、秋姉よりほわほわしてるこの人は亜由子(アユコ)先輩。


オレの1個上。


小さい頃から秋姉と健と亜由とよく一緒に遊んでた。


いわゆる幼なじみ。


春姉や夏兄も遊んでくれたけどなんだかんだで1番遊んだのはこの4人だった。



「何の用?」


「何の用?なんて可愛くないなぁっ」


「別に可愛くなくていいよ」


「あたしの冬のイメージは可愛いんだもん」


「は?
可愛く無いって言ったじゃん」


「冬が可愛くないのは今。

昔はもっと可愛かったー

“亜由ちゃん、亜由ちゃん”ってそれはもう可愛らしかったのにっ」


「それ頭の中で少し美化してるでしょ」



ちょっと暴走気味の亜由にツッコミを入れる。