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「……てなわけで、葉月は失恋を吹っ切って、みなみはハッピーエンドになりましたとさ!」

「二人とも、恋の結末をむかえられたみたいだね」

彼は私の髪を切りながら、笑顔で聞いていた。

「みんな美容師さんのおかげだよ」

私の髪がパラパラと地面に落ちていく。

「そんなことないよ」

「でもまだ私は、恋の結末をむかえてないよ」

ハサミを離した瞬間、私は彼のほうをむいた。

「私のこと、真剣に考えてくれませんか」

私は真っ直ぐ彼の目を見つめる。

「美姫ちゃん……」

彼は手を止め、私の目を見つめ返す。

「付き合ってなんてまだ言いません。だから…そろそろせめて名前だけでも教えてくれませんか!」

彼と出会って1年半。
まだ名前すら教えてもらえなかった。

「……わかった」

「ほんと!?」

名前を教えるのを拒まれ続けてやっと、一歩踏み出せたきがした。

「永遠(とわ)……永遠って書いてとわだよ」

「永遠さん!わたし、大学生になってもここに来ますから!だってあなたは私の、王子様だから」

私の永遠さんの恋のストーリーは、まだまだ続きそうです!



END