失恋シンデレラ

「大好きだった彼に、今日フラれたんです」

実際に口にしてみると、心がずきんと痛む。
だんだんと、私はフラれたんだと実感し始めていた。

「彼が長い髪が好きだったから、ずっと伸ばしていたんです」

男の人は何も言わずに、私を見ている。

「彼が、私の王子様だと思っていました。でももう、魔法が解けちゃった…シンデレラみたいに。楽しい、幸せな時間は終わってしまったんです」

涙が瞳からこぼれ落ちる。

好きだったのに。
世界中の誰よりも好きだったのに。

ずっとそばに居たかった。

ただ隣に居たかっただけだったのに。
彼が居るだけで、私は魔法をかけられたシンデレラのように、ずっと綺麗でいられたのに。