失恋シンデレラ

「梶原と帰るの久しぶりだな」

そういえば1年生のころ以来だっけ。

「…そうだね」

「相変わらず梶原は泳ぐのがはやいよな」

「そうかな」

車が横を通る度、水溜まりから水か跳ねた。
でも中森が車道側を歩いてくれているので、私にはかからなかった。

あえて車道側を歩いてくれてるのかな?

まさかそんな気がきくこと、中森がしているわけがない。
偶然にちがいない。

「梶原のクロール、すごく綺麗だよな」

「え?」

綺麗だなんて、初めて言われた。

「腕がぴんと伸びてて、音も全然しないし水もあんまり跳ねない。俺もあんな風に綺麗に泳いでみたいな」

私はまた顔が赤くなる。
いつも文句しか言わないくせに、いきなり褒めるなんて、ずるい。

「……ばか。」

無意識に出た言葉だった。

「え?」

「なんで、そんなこと言うんだよ」

心の奥にしまおうと思っていた気持ちが、溢れ出しそうになる。

「梶原?」

中森は不思議そうな顔で私を見ていた。

「……すき」

言わずには、いられなかった。

「中森が……好き」

中森に聞こえたのだろう。
私の気持ちが。

傘はいつの間にか地面に転がっていて、私は雨に濡れていた。

「梶原。俺……」