展示室に入ると巨大なガラスケースが1つ、部屋の真ん中に置いてある。


パッと見普通のガラスケースであるそれは
、今夜やってくる奴に備えて準備された特別製。



驚異の強度を誇る防弾ガラスに0.1g単位で反応する重量センサー、さらに部屋には赤外線センサーが張り巡らされ、どれか一つでも感知した瞬間、外部への道が遮断される。


ガラスケースをあけるには俺、もしくはこの宝石の持ち主の指紋認証に加え、10桁のナンバー認証式セキュリティの二重ロックである。



が、これで安心していた俺が甘かった。




赤外線センサーに反応は無し。
無理矢理こじ開けられた痕跡も無し、指紋認証やナンバー認証がいとも簡単に破られ、重量センサーといえば0.1gの誤差もなく、すり替えられた偽物によってこれまた反応無し。


何事も無かったかのようまたセキュリティのかかったガラスケースの上に1枚のカード


黒いカードを手袋をはめて手に取る。


するとそこには真っ赤な薔薇の絵とともに

『δ(デルタ)』

そう蛍光掛かった緑色の線で示してあった