「おい！レイ起きろ」

そう言ってハルトが私の布団を剥ぐのは毎朝6時半。


早いもので５月になり、段々と暑くなってきていたがそんなもの関係ない。


「ひどい！あと5分寝かせてよ！つーか布団を返せ！！」

そう抗うが、彼がそれで布団を返してくれたことなど一度もない。

しぶしぶベッドから立ち上がり、顔を洗に行こうとすると、ハルトが私に新聞を差し出してきた。

「どうしたの？珍しい」


そう新聞を受け取り、開くと目に飛び込んできた記事は


《 今度はルーブル美術館買収か》


またか……ってルーブル！？


「今までは小さな美術館ばかりだったが、ついにルーブルに手を出したらしい。」

思わず目を見開く。
美術館の買収。ココ最近ではとても有名な話であり、なんでも新手の資産家が、次々と世界中の美術館を買収しているらしい。

どこからそんなお金が湧いてくるのかと不審になった警察が調べにかかるも怪しい所は何故か見つからない。


そんな中、とうとうパリの有名な美術館、
ルーブルが買収されたというのだ。


「ちょっとまって、どうすんのハルト」




「どうするも何も、盗むのに美術館の保有者が誰かなんて関係ないだろ。
ほら、学校行く準備するぞ」

動揺してる私に淡々とそう告げた彼は、私の様子を見て少し楽しんでいるように見える。


部屋から出ていったハルトを横目で見ながら、 私も学校へ行く準備を始めたのだった。