盗んだ宝石は、海外オークション売りさばくのが常。


私達は学校の兼ね合いで滅多に行けないため、家に帰ると親に宝石を渡す。

すると、親が海外に仕事に行く時、ついでにオークションにかけて戻ってくるというわけだ。


表向きの仕事は世界屈指のホテルマン。


言い忘れていたが、私の家も結構大きな財閥であるので、数億円が資産に増えたところで目立ちはしない。

……もっとも警察には睨まれているが、証拠が出ないためうかつに手を出してこない次第である。


恐らく私たちの生計は盗みをしなくても、立つ。

それなのに何故盗むのか。そんな疑問はとうの昔に捨て去った。




少なからず感じてきた罪悪感も薄れ、快感に変わっていった今、私はまだ、この先に起こる惨劇を知らなかった。