イジワルな初恋

靴を履き終わった中矢君が、私の方を振り返った。


『レギュラーだけどさ……』


神様、どうか、お願いします。

祈るような気持ちで目をつむり、うつむいた。


その時、中矢君が力いっぱい私を抱きしめた。


え……!?


『りりー、俺やったよ……。レギュラー、とれたんだ!』


私を抱きしめたまま、少し体を震わせてそう言った。


『……おめでとう』


うれしくて……自分のことなんかより、もっとずっとうれしくて……。


毎日泥だらけになりながらがんばってた。

塾の帰り、近くの公園で素振りをしている彼を、何度も見かけた。


最後の試合、中矢君がユニホームを着てグラウンドに立っている姿を想像したら、涙が溢れてきて……。


『よかった……ほんとに、ほんとに……』


『やめろよ、りりーが泣いたら俺まで……泣けてくるだろ……』


泣いたっていいよ。その涙は、ちっとも恥ずかしくなんかない。

すごくすごく、かっこいい涙だよ。


中矢君に抱きしめられて、ふたりで泣いて、この時だった……。



彼に対する気持ちが、友達から……恋に変わったのは……。