「えっ?」
美鈴にもっと近づき聞き耳をたてる
「………嫌い………じゃ………ない……」
「じゃぁなんで」
「……大樹が………………………大樹じゃななくなっちゃう気が………した……から」
声がだんだん小さくなっていたが
はっきりと聞こえた
えっ?
俺が俺じゃなくなる?
「見た目が変わっても俺自信は変わらない」
「……………でも………………髪フワフワじゃない………」
拗ねたような口調
俯いていて表情は見えないが
きっと拗ねているに違いない
こんな美鈴を見るのは初めてだ
それに
美鈴は俺の髪が気に入っていたようだ
クスッ
大樹は嬉しくて笑みがこぼれた
その笑い声に気がつき
俯いていた美鈴が顔をあげる
美鈴は
瞳を少し涙で潤ませ
眉をよせ口を尖らせていた

