その瞳をこっちに向けて



「あっ、あったぁぁぁぁあ!!」


思わずそう叫んでペンダントを手に掴んだその時、

「おいっ!何してんだバカッ!!」

という慌てたような怒鳴り声が響いた。


 声が聞こえてきた後ろを振り返ると、眉間に皺を寄せ盤若の様な形相をした中畑先輩がこっちに向かって駆けてくる。


王子様要素は何処に消えてしまったのだろうかと思うほどの中畑先輩の顔に思わずビクッと肩が揺れる。と、同時にガシッと中畑先輩の大きな手が腰に回ったと思ったら、グイッと中畑先輩の方へと引き寄せられた。


その勢いによってポスンと顔を埋めた場所は中畑先輩の胸で。


びしょ濡れの私と空から落ちてくる雨粒が中畑先輩の白のTシャツを濡らしていく。



トットットットッ……ーー



一気に早くなる鼓動が頭に響く。


でもそれは私だけのものじゃなくて、中畑先輩からも同じ速度の音が伝わってくる事に、カアッと顔が熱くなる。