学校の帰りに話していた様な他愛のない話をしながらケーキを頬張る。


そんな時間は思いの外早くて、あっという間に90分が終わりを告げた。


 お会計時に手提げの鞄から財布を取り出そうと手を突っ込んだその時。スッと中畑先輩に手が私の方へと伸びてきた。


突然の事に首を傾げて、

「な、何ですか?」

と問えば、プイッと私から目を逸らして、「今日は俺のおごり」とぶっきらぼうに言い放つ中畑先輩。


けど、私としてはさらにわけが分からなくなったわけで、未だに首を傾げたまま。


「何でですか?まっ、まさか、またそれで脅す気じゃ」

「ちげぇよ。いきなり今日、無理言って付き合わせたからだよ」



確かに突然やって来て、付き合わされた。

だけど、全く悪びれる様子もなかったから、そんな事を気にしてるなんて予想外。



「中畑先輩の癖に悪いとか思ってたんですか!?」

「どういう意味だよ」

「いえ、別に」


さっきの優しい微笑みとは打って変わって、ギロッと鋭い目を私に向ける中畑先輩に、悪いとか思わない人だと思ってました…なんて口が割けても言えない。