その瞳をこっちに向けて



「ん?ってことは中畑先輩は甘党なんですか?」

「まあ…な」

「ああ。それで甘党って知られるのが恥ずかしくて、でも一人でバイキングも行けないって事で私ですか」

「まあ、そんなとこ」


いきなり家に来たときには何させられるんだろうと思ってたけど、こんな事とは。



中畑先輩が見栄を張るタイプで良かった!



「ケーキ系の事ならいつでも言って下さいよ!私、甘いもの大好きなんですから」

「だと思ってたよ」


そう言ってふわっと微笑んだ中畑先輩に、思わずトクンッと心臓が音をたてる。



癪だけど、王子様っていうのは女の子をドキドキさせる天才なのかもしれない。

ほんと、癪だけど。



 店に入り案内された席につくと、周りはケーキにゼリー、ババロアにプリンと宝石の様にきらびやかにされたデザートばかり。


目にしただけでも涎がこぼれそうだ。


制限時間は90分。直ぐ様お皿にめいいっぱいのケーキを乗せて、それをバクバクと食べていく。


目の前で少しずつケーキを口にしている中畑先輩が、「がっつき過ぎ」とクスクス笑うが、そんなこと気にもならない。中畑先輩にどう思われたって問題なしなのだから。



これが仁先輩だったら、……全然食べられないんんだろうな。