その瞳をこっちに向けて



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 次の日の朝鏡の前に立つと、そこに映るのは少し目が腫れた自分。


昨日号泣はしなかった。けど、流れる涙は眠りにつくまで止まらなかった。


そのせいだ。


「今日は学校が休みで良かった」


そう独り呟くと水道の蛇口を捻り、流れ出る水を手で掬って顔に掛けた。



うん。気合い入った。

大丈夫。

私は仁先輩の事を好きなのをやめる。もう仁先輩を見ない。

大丈夫!出来る!まだ全然忘れられる!



そう自分に言い聞かせると、自分の頬を両手でパチンッと叩く。その時、玄関から母親が私の名前を呼ぶ声が響いた。


「まーきー!お友達が来たわよ!」

「えっ!?はーい」


 突然の事に慌てて返事をし玄関へ向かって歩を進める。が、そこで少し首を傾げる。



今日は誰とも遊ぶ約束はしていない。

誰だろう?



そう思ってのことだったのだが、こんな風に突然やって来る友達がいないわけではない。


私の友達の中で唯一突然やって来るのが、鈴菜だ。