「お前、こんな所で何してんだよ!まさかまた……」
そこで言葉を切ると両膝に手をつけ腰を屈めて、私の顔を覗き込んできた。
「何で、……泣いてんの?」
「泣いてないです」
「泣いてるじゃん」
「汗……ですよ」
明らかに苦し過ぎる言い訳。
んなわけあるかっ!って突っ込まれるのなんて目に見えてるのに、それでもこれ以上中畑先輩に弱味を握られたくないっていう意地だ。
が、中畑先輩の反応は私が思っていたものとは違っていて。
「汗、かき過ぎ」
眉尻を下げ切なそうな顔をして、右手の人差し指で私が汗だと言い張る頬を伝う涙を掬う。
頬に触れた指から伝わる体温のに、止まりかけていた涙が再びぶわっと溢れてくる。
「うっ…さいですよ。……さっさと帰れバカ」
「汗をかき過ぎなバカを家に送ってったら帰るよ」
どこまでも仁先輩思い。
でも、流石にあの二人を目にした後で、もう一度仁先輩を見たいと行動を起こす勇気なんて私にはないのに。



