その瞳をこっちに向けて



だからか、つい彼女が何で3段チェストを手に抱えているのかが気になって、気付いたら口を開いていた。


「それ、3段チェストですか?」

「あっ、はい。可愛くってつい買っちゃったんですよ。それでもって直ぐに使いたくなっちゃって」

「そのまま?」

「配達も待ってられなくて」


フフッと笑う彼女は照れ臭いのか少し頬を染める。それにつられて私もフフッと笑い声を漏らした。


 綺麗で優しい雰囲気を纏った人。私もこんな人になりたかったな…なんて思ってしまう。


そんな事を考えて彼女を見ていると、ふと彼女の胸元にキラリと光るものが目に入った。


「あっ、そのペンダントトップ」

「えっ?」


突然指を差して声をあげてしまった私を見て、キョトンとした表情をする彼女。


仁先輩のしていたものと同じ形だったからつい声をあげてしまったが、彼女からしたらわけが分からなくて当然だ。


「いや、綺麗だなって思って。さりげに埋め込まれた赤い石とかが」


へらっと笑ってそう誤魔化すと、彼女もただ誉めてもらっただけと思ったらしく照れ臭そうに笑う。