「も、もしかしてですけど。これからもずっと私が家に入るまでチェックするつもりですか?」
「当たり前だろ」
「……マジっすか」
中畑先輩の私へと警戒心が解かれる日は来ない…かもしれない。
ガクッと肩を落とす私の肩をぽんっと叩いて「じゃあな」と言って去っていくこの男が、やっぱり心底ムカつく。
だからさっきの心臓の音が速くなったのだって、顔が熱くなったのだって、ただ中畑先輩の走りに感心しただけだ。
だんだんと小さくなっていく中畑先輩の後ろ姿を見ながらそう自分を納得させていたその時、後ろからトンッと右肩を叩かれた。
誰かと思い振り返れば、そこにいるのは私の大好きな仁先輩。
「あのさ。君って工藤麻希さんで合ってる?」
「そ、そそそそうです!」
仁先輩に初めて話し掛けられただけでなく、私の名前を仁先輩が口にした事に、混乱し過ぎて頭の中はもう真っ白状態。
何がどうなって仁先輩が話し掛けてくれたか全く分からないけど。う、嬉し過ぎる!!



