「上等です。離したりなんかしたら、またストーカーしてやりますから!」
少し偉そうに言ったのは照れ隠しから。だけど、中畑先輩にはその照れ隠しすらもバレていたらしく、フッ…という笑い声の後に言葉を落とす。
「工藤はずっと俺のストーカーしとけばいいよ。俺だけを見ててよ」
ああ。ほんと、……狡い。
私が言って欲しい言葉をこうもさらっと言い当てる。
だから余計にどんどん目が離せなくなるんだ。
「い、いい言われなくても、……もう中畑先輩しか見えてませんよ。癪ですけど」
ほんと、今の私は悔しい程中畑先輩ばっかり。きっと、ずっとこれからも変わらない。
私はきっと、……このまま一生中畑先輩のストーカーだ。
暫くして中畑先輩は、抱き締めるのを止め身体を離すと、今度はギュッと私の手を握った。
「送ってく」
「えっ!送らなくていいですよ!中畑先輩の家、目の前だし。私が勝手に付いてきたわけですし」
慌てて首を横に振るが、そこでふとある考えが浮かんで目を細める。
「もしかして、……まだ仁先輩のストーカーしそうとか思ってます?」



