「何…ですか、……それ」


胸がギュッと締め付けられる。



ほんと、中畑先輩は狡い。

こんな事言われて、ふつふつと溢れてくる期待を止める術を私は知らない。



「流石に後を付けたりはしてねーけど」


苦笑混じりにそう言う中畑先輩を目の前にして、鼻がツンとして目頭が熱くなる。


次に中畑先輩の口から吐かれる言葉を期待して、今か今かと待ち焦がれる。瞬きすらも惜しいくらい中畑先輩を見つめてる。


 そんな中、中畑先輩の唇が少し間を開けてから、ゆっくりと動いた。


「それでも見続けてたのは、……俺が工藤の事を好きで、好きで、どうしようもなかったから。……だから。……だから、……俺が工藤にストーカーだって警察に通報される前に。俺の彼女になって下さい」


真っ赤に染まった少しだけはにかんだ顔。その顔が、その言葉が、中畑先輩の全てが。私の心臓を撃ち抜く。


「……はい」


鼻を啜って返事をすると共に、ぽろぽろと溢れ出す涙。