その瞳をこっちに向けて



「うん。挨拶だけ!今までみたいに…が理想だけど、それが出来なくなったんだったら初心に戻る。自分から挨拶だけ何がなんでも言うのよ!」



確かに、挨拶だけなら何とかなるかもしれない。

前みたいに…じゃなくて、今出来ることをするのが一番大切なのかもしれない。



「初心か……。うん。それなら何とか」

「何とかなるかも…じゃなくて、決定事項よ!!これ位はやっとかなきゃ、中畑先輩話してくれなくなるわよ!」

「りょ、了解です」


 私に顔を近付けて、少しキツめの口調でそう言う鈴菜に思わずビクッと肩が揺れる。が、決定だと断言したのは、私の為だというのは分かっている。


そう言ってもらわなければ、私は『明日から』と自分に言い聞かせて永遠と挨拶すらしないだろう。それを鈴菜も知っているから。だからこそ、こうやって言ってくれるのだ。



そんな鈴菜の気持ちに応えたい。

だから私は。


明日何がなんでも、中畑先輩に挨拶をするんだ!