「それか」
「ん?」
何かに納得したように鈴菜がそう口にするが、私は首を傾げたまま。そんな私に気付いた鈴菜が、つまり…と言葉を続ける。
「仁先輩と中畑先輩の違いは、麻希との距離感よ」
「距離感?」
「そう。距離感。中畑先輩は仁先輩より麻希との距離が近いのよ。仁先輩は一目惚れだったけど、中畑先輩は一目惚れじゃないでしょ。中畑先輩とは麻希が好きって思う前から関わってたわけだし、距離が近いのも必然なわけだけどさ」
「近い……からか。……そうかも」
鈴菜が言う通り、中畑先輩との関係を訊かれたら、『知人です』と答える位には近いと思う。
だから中畑先輩と上手く話せなくなってしまったのが、この前までの自分と今の自分を比較出来てしまうからハッキリと分かるんだ。
「ほんとは近いのはラッキーな筈なんだけど、それが裏目に出たんだろうね」
鈴菜が溜め息混じりで呟いたその言葉が胸に突き刺さる。
裏目に出た…か。
ほんと、そう。前みたいに話せなくなる自分が嫌。急に逃げたくなる自分が嫌。……嫌になのに、それを止める事も出来ない。
もう、どうしたらいいのか分からなさ過ぎて、……頭の中がパンクしそう。
思わず頭を抱えた時、鈴菜が口を開いた。



