そんな思いから少しだけギュッと花火を持つ手に力を入れたその時。

「うわっ!」

そう中畑先輩の叫び声が響いた。


 手元に注意してそろりと中畑先輩の方へ顔を向けると、中畑先輩の手にある花火にはもう光はなく。空いている手で頭を抱えている。


つまり、勝負は私の勝ちって事だ。


「やったー!勝ったー!なんか中畑先輩に勝つのってめちゃくちゃ嬉しい!!あっ……」


勝負に勝った事に興奮して立ち上がった瞬間、ぽとっ…と私の線香花火の火種も下へと落ちていく。


「バーカ」


シシッと笑う中畑先輩につられ、ハハッと笑いながら、手に持っていた消えた花火を水の入ったバケツの中へと差し込んだ。


 中畑先輩も私同様にバケツへ手に持っていた花火をつける。そして、ゆっくりと私へと顔を向けた。


「で、願い事は決めてんの?」

「あっ、はい。一応」


私の返事に中畑先輩がニカッと笑ったと思ったら、その場に立ち上がって右手をお腹に当て少しだけ頭を下げる。


「どんな願い事でも叶えさせて頂きます。お嬢様」


まるでお城に住むお嬢様に仕える執事の様なその姿に思わず笑い声が漏れた。