ただそれ以上念推しするのも可笑しな気がして、そこで口を閉じた。


 パチパチという音と黄色の光が花の様に弾けていく花火。その光をじっと見ていると、ぶわっと少し強い風か横切った。と、共にぽとっ…先端の赤い玉が下へと落ちる。


「あー、落ちちゃいました」

「そりゃ、落ちるだろ。まだ花火ある?」


中畑先輩のその言葉に、残りの花火を確かめに行くと残りは線香花火が2本だけ。


「あっ、最後の2本ですね」

「早いな」

「ですね」


二人でするにはかなりの量があった筈なのに、楽しい時間は過ぎるのが早い。



もっとしたかったな……。



そんな気持ちでぼーっと残りの花火を見ていると、ふとある考えが頭を過った。


「あっ、そうだ!」

「どした?」


 突然声を上げた私に中畑先輩が顔を向ける。それを合図に残りの2本の線香花火を掴み立ち上がると、グイッと線香花火を掴んだ手を中畑先輩の目の前へと突き付けた。