そんな来年の自分の姿に苦笑いを漏らした時、
「なら、俺と行けばいいだろ」
聞こえてきたその言葉に心臓が跳ね上がった。
「えっ……」
「何?俺じゃ不満なわけ?」
鋭い目でギロッ私を睨む中畑先輩。それに慌てて首を横に振る。
「いや、そうじゃなくて。……中畑先輩、……来年受験ですよ」
「一応、今の所学年首位だから問題ない」
「あー、そうでしたね。ムカつく」
「お前、ムカつくって……」
「でも、それなら安心して中畑先輩と花火見に行けますね」
「ああ」
優しさからなのか、来年も花火に行けないだろう私に同情してなのか。中畑先輩の本音は分からないけれど、今はその言葉でほわっと胸が温かくなる。
「来年、…楽しみですね」
「だな」
本当に中畑先輩は私と花火を見に行ってくれるのだろうか。
今の会話だけじゃ何処かあやふやで。
あやふやな会話を少しでも確実なものにしたくて、気付いたら押し付ける様な言葉を口にしていた。
「約束破らないで下さいよ!」
「破らねぇよ。バーカ」
「絶対ですからね!」
そんな私の行動を、楽しそうに歯を見せて笑っている中畑先輩の真意は不明のまま。



