そんな事をしている間に、既に中畑先輩は自転車に跨がっていて、「ほらっ」と荷台を叩く。私に荷台に乗れという事なのだろう。
「それ、道路交通法違反ですよ」
「なら、走る?」
シシッと笑ってそう言う中畑先輩は、私の答えを分かってて訊いているんだと思う。
「自転車に乗ってスイスイ進む中畑先輩の隣で走るのは、絶対嫌です!」
正直、そんな事をしている人が居たら何の罰ゲームだと突っ込むくらいだ。
「じゃあ、早く乗れ」
「こ、今回だけですからね!」
中畑先輩の催促にそう唇を尖らせて言うと、渋々自転車の後ろへ跨がった。が、そこで問題が発生した。
彼女でもないのに知り合い?程度の私が中畑先輩の腰に手を回すのも何だか変で気が引ける。
第一、気が引けなくてもそんな事したら、……恥ずかしくて死ぬ。
結果、荷台をガッチリと握った所で中畑先輩が後ろを振り返って首を傾げた。



