その瞳をこっちに向けて



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 中畑先輩が住んでいるというマンションに着くのに歩いた時間は2、3分といったところだろうか。


目の前にあるのは仁先輩の住んでいるマンションとよく似た形で、中畑先輩が住んでいるこのマンションから仁先輩の住んでいるマンションは目と鼻の先だ。


まあ、幼馴染みなのだから当然といえば当然なのだが。


中畑先輩の後ろについてマンションの中を進んでいると、1つのドアの前で中畑先輩の足が止まった。表札を見れば『中畑』の文字。



王子様って呼ばれてるけど、……家は普通だな。

まっ、当たり前か。

逆に黄金の家とかに住んでても引くしね。



ボケッとそんな事を考えていると、既に玄関のドアを開けていた中畑先輩が私へと声を掛ける。


「ほら、入れよ」


その言葉で玄関に一歩足を踏み入れようとしたが、そこで足を止めた。