その瞳をこっちに向けて



「お前。髪、びしょ濡れ」


ふと中畑先輩から漏れた言葉に苦笑する。


「今更です」

「そうなんだけど。……あのさ。……お前、俺の家寄ってけ」

「えっ?」


思いもよらなかった言葉に目を丸くして中畑先輩を見れば、そこには真っ赤に染まった顔があって。慌てて私の頭にあった手で顔を隠そうとする。


「タオル貸してやるから。そのまま帰ったら風邪ひくだろ。ここから俺の家近いんだよ」


ぶっきらぼうに言われた筈なのに、隠しきれていない真っ赤な耳が面白くて。


王子様と言われている筈の彼のそんな顔をもっと見たくて。


好奇心からなのかは定かではないが、気付いた時には、そんな中畑先輩をからかう様な事を口にしていた。


「タオルだけですか?」

「なっ!……他に何貸して欲しいんだよ?」

「お風呂とか?」

「風呂!!入りてぇの!?」


本気でりんごの様に真っ赤に顔を染めて慌てる中畑先輩。