ちゃぶ台に、マグカップを2つ置く。

中には綺麗な翡翠色の、綺麗な緑茶。


はるかは、マグカップを手で包み込み、

白い湯気を眺める。


そんな彼女を盗み見つつ、

練は一口、緑茶を味わうように飲み込んだ。



「何しに来たんですか」


え…と、はるかを見ると、

何も言っていないように、

さっきと変わらない様子で、

まるで空耳だったのではと思うほど、

はるかの表情は彫刻のように動いていない。


でもそれが、

昼間の事を言っているのだという事は

簡単に想像がついた。



「妊娠、してましたか?」


練は、静かに頷いた。


はるかのため息が小さく聞こえて、

お茶の苦味がさらに増した気がした。



「早く帰った方がいいんじゃないですか?」


遠くから聞こえるクラクション

近くから聞こえる、時計の秒針

すぐ側から聞こえる、はるかの声



「すみません」


何に対して謝ったのか。

何も喋らずひたすら緑茶を飲むのに対して

夜遅くに家にきてしまったことに対して


それとも、、、