なみだ雨



すれ違う人全てがこっちを見ている気がした。

話している内容全て自分のことを言っているような気がした。

口に地の味が広がる。
肺が痛い。
足が痛い。

チリン…という音が耳に届いた。

気にせず走った。


平静な気持ちになってきた時は、
空がもうオレンジ色になってきて。

携帯を置いてきたのを後悔した。

あとで取りに行かなくちゃ。
その前に電話かけてお店に保管してもらおう。

住宅街をとぼとぼと歩く。
練のアパートが見えてきた。

はるかはポケットに手を突っ込んだ。

ない。
鍵がない。

肩にかけていたバッグをあさる。
ない。
どうしよう。

はるかは元来た道を早足で戻った。

チリンと音がしたのは鍵が落ちた音だった。

思い出そうとするけど、どの道を走ってきたかわからない。
闇雲に走っていたから。

ついでに携帯を取りに行こう。
はるかは駅に向かって歩いていった。