なみだ雨




12秒経った。

成海がくるりとはるかを見据える。

はるかの背中がぴしっと伸ばされる。
なんとなく、航平も背筋を伸ばす。


「誰」

「バイト先の人です」

「そいつにしときなよ」

え…?とはるかは聞き返す。

「あんたってさあ、人の幸せぶち壊すの好きだよね。不幸好きでしょ。自分が正しいみたいなさ。他人に自分の価値観押し付けるみたいな」

「そんなこと…」

「あるんだよ!むかつくんだよ、おまえ見てると!!練のこと好きだったよね!!練の部屋に入り浸っていつまでも出ていかなくて!だから!!だからわたしは…!!!わたしだって練のことが好きで好きでたまらなかった!ずっと好きだったのにふらっと現れたあんたのせいで!!」


テレビの司会者の笑い声がする。


航平がもう一度と言わんばかりにお茶をすする。

「うるさい」

「はい、すみません」

成海の一喝で航平はお茶をテーブルに置く。