九条くんは、王子様




「そ、そのイギリスからは、いつ、帰ってくるのかな?」


「……まだ分からないんだ、でも、なるべく早く帰って来ようと思ってる」


「じゃ、じゃあ、イギリスへは、いつ行くの?」


「24日の夜」


24日…

「クリスマスイブ…なんだ…」



「でも、出発する前までは、相笠さんと、一緒に過ごしたい…」

「俺のワガママ聞いてくれる?」


その表情は、まだ唇を噛んだままだ。


そんな、九条くんに

私は、''行かないで"なんて言えるはずがない


いまは、ただ、九条くんが選択したことを応援しよう、そう思った




「うんっ!…もちろん」


全力の笑顔で返事をする



九条くんが、少しでも暗い気持ちにならないように


九条くんが、出発するまで、絶対に弱音を吐かないとわたしは、心に決めた