「お姉ちゃんどうしたの?箸止まってるけど……何か考え事?」
成美の声にはっとして顔を上げると、とっくにみんな朝ごはんを食べ終わってしまっていて、八人も囲める大きな丸いちゃぶだいの席には、私と成美しか残っていなかった。
そんな成美も、朝ごはんを食べ終わってしまったようで、茶碗を重ねて席を立つところだった。
私は残っていたお味噌汁をぐいっと飲み込んで、台所へ食器を運ぶ成美の後ろを追いかけた。
「ねえ、成美。成美はどうして、翔太の浴衣アイドルユニット引き受けたの?」
「どうしたの、突然?」
「ほら、私は昔出来なかったリベンジを……って思ったのがきっかけだったけれど、成美はどうなのかなって単純にそう思っただけ」
流しの中にあった水を溜めた洗い桶の中に食器を入れ、「成美はすすぎお願いね」と言ってスポンジに洗剤を落とし、くしゅくしゅと揉んで泡立てた。
「まあ、目立つの好きだし」
「うんうん、そうだよね」
「楽しそうだし」
「うんうん」
「それに……」
「何?」
「……翔太さんのこと好きだし」
「……うん……」