「うーん……相方?」



「相方って漫才じゃないんだから」



「ああ!分かった!補佐!なんかカッコいい感じしない!?」



「うーん……まあいいや。じゃあ、これからは補佐にするね」



翔太のそんなやりとりをしていたら、薄い作務衣を来た男の人が玄関近くの部屋の襖を開けて出てきた。



「こんにちは。井上です」



「覚えてるよ。一か月ぶりくらいかな?あれから話は進んだの?」



作務衣を来た男の人は、メガネの奥の目を細めて、にこにこと翔太に歩み寄ると手を差し伸べて握手をした。



「ええ。一緒に太鼓を叩いてくれる方が決まって。紹介します。山本成子さんです」



翔太が隣にいた私の肩を後ろからぽんぽんと叩いて、「ほら、挨拶」と自己紹介をゆだねた。



「はじめまして」



私は男の人に向かって頭をぺこりと下げて上げた。



「ああ……初めましてじゃないかな、もしかして」


男の人が言うと、翔太も「そうですね」と言って、私の顔をちらりと見て、にこっと笑った。