「へえ、いいなあ」
「ちょっと、私を無視して話さないでよ!翔太さん、お姉ちゃんと二人で何してるの?」
「何って、仕事の話だよ。あ、そうだ。成美ちゃんにも関係のある話だし、隣に座って話そうよ。ほら、焼き鳥もあるし。飲み物何がいい?」
翔太の一言でさっきまで目を吊り上げていた成美の表情がみるみる柔らかくなり、成美の好きな人ってやっぱり翔太のことだったのだと納得した。
「オレンジジュースが飲みたい!」
成美は翔太の隣にぴったりくっつくように座って、すごく可愛らしい笑顔で翔太を見つめてにっこり微笑んだ。
一瞬成美と目が合ったけれど、成美は私からぷいっと顔を背けた。
「ナルには言ってなかったけど、大太鼓を祭りで叩くほかに、もうひとつ、音羽町を盛り上げるためにあるプロジェクトを同時進行してるんだ」
翔太は、そんな私と成美の空気を特に感じ取ることもなく、話し始めた。
私も成美とのそんな空気を感じていないかのように、「へえ、それって何?」と、感情を隠しながら翔太との話を続けた。
「花火と大太鼓の共演の前に、大太鼓の周りで盆踊りも出来ないかなと思ってるんだ。ほら、音羽って染物も有名だから、それを浴衣にして売り出そうかなと思ってて。それで、ただ売り出すだけじゃ面白くないから、音羽町出身の有名デザイナーさんとコラボ商品を作って、それを着た浴衣アイドルユニットっていうのも期間限定でやってもらおうかなと思ってるんだ」
「翔太さんって、本当に色々考えちゃうからすごいですよね!私、尊敬します!」
成美は、翔太の言葉にすかさず褒め言葉を入れた。
翔太はその言葉に「いやいや……色々調べて真似しただけだから」と照れながら言うと、頭をぽりぽりとかいた。

