「成子先輩、今日の合コンどうします?女子が一人足りなくて…まだフリーですよね?」



会社の後輩の愛菜(まな)がロッカーの鏡で化粧を直しながら聞く。



「んー…しばらくはいいかなって」



「そうですか?まあもし気が変わったら連絡下さいね!じゃあ、お先に失礼します」



「はあい。飲みすぎないようにね、お疲れ」



愛菜は、ひらひらと可愛らしく手を振ってロッカールームから出て行った。

ドアの向こうから聞こえる愛菜の足音は、パタパタっと弾むように消えていった。



「なんだかなー…」



前の私ならすぐ飛びついた合コンも、今はそんなに魅力的に感じない。

誰もいなくなったロッカールームで全身鏡を見ながら、ふうと大きく息を吐き、ショルダーバックを肩にかけ帰路につく。

いつもと同じ帰り道。

都会での社会生活も7年目。

一人の時もあれば、二人の時もあって。

生活に困らないほどのお給料はもらえてて。

それなりに貯金もあって。

楽しく恋して自由にやれたらそれでいいなって思ってた。


アパートの近くのスーパーで、ちょっとしたお惣菜と発泡酒を買って。

食べて飲んで、お風呂に入って、ぐっすり眠って。

そしてまたいつもと変わらない日常が始まり、会社に出社。

その繰り返し……のはずだった。



「え……!」