キミのコドウがきこえる。



「ねえ、仕事辞めてきたって本当?」



「辞めてきたっていうか、倒産したんだよ」



「へえ。世知辛い世の中だねえ。でも、お姉ちゃんのことだからそれなりに貯金してるんでしょ?この機会に遊んじゃえばいいじゃん」



「成美くらい気楽に考えられれば人生楽しいんだろうね」



私は、成美のお気楽な考え方に、今まで暗く悩んでいたのが馬鹿らしくなってなんだか笑えてきた。



「別に。楽しい方がいいじゃん?向こうで遊んでたら良かったのに。どうしてこっちに帰って来たの?」



「ちょっと、用事があってね」



「用事って?」



成美は私の話に興味があるようで、寝転がっていた体を起こしぴょんと跳ねるようにして、ベッドに座っていた私の隣にちょこんと座った。



「うん……まあ、ちょっと。会わなきゃならない人がいて」



「会わなきゃならない人って誰!?」



成美は私の顔に自分の顔をぐいっと近づけて、にこにこしながら私を見つめた。