キミのコドウがきこえる。


窓の外の光が白からオレンジに変わる頃、トントンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。



「お姉ちゃん?起きてる?」



「起きてるよ」



そう答えると、部屋の扉が開いて高校の制服姿の妹の成美(なるみ)がひょっこりと顔を出した。

成美はいつも自信がなさそうな私とは違い、とても社交的で、まゆげの上で切られているトレードマークの短い前髪が彼女の性格を表す。



「成美の制服姿初めて見た」



私はベッドから起き上がり、制服姿の成美をまじまじと見た。



「お姉ちゃんのおさがりっていうのが、ちょっぴり気に食わないけどねえ。この度、無事音羽高校の一年生になりました!」



成美はそう言って気を付けをして、私に敬礼をして見せた。

成美はフローリングの上に置いてあった大きいビーズクッションに座って、持っていた通学バックを床にポイと投げた。



「聞いたよ!お父さんと喧嘩したんだって?」



「喧嘩っていうか……向こうが勝手に怒ってただけだよ」



「ははっ!まあそんなところだろうとは思ったけど」



成美はそう言って、両手をぐうっと天井へ伸ばすと、「ふう」と大きく息をはいてビーズクッションの上にごろりと寝転がった。