「え!?会社が倒産した!?」



私の言葉を聞いて驚いた仁成兄ちゃんの軽トラが、ガタンと前のめりになってエンストした。



「ちょっと!危ないよ!」



「すまん…すげえビックリしたから」



仁成兄ちゃんは、慌ててギアをニュートラルに戻しエンジンをかけなおすと、もう一度ギアを入れなおし、駅の駐車場を出発した。



「お前そんな大変な中帰ってきて大丈夫だったの?」



「うん。無事に失業保険も手続きできたし貯金もあるし、まあしばらくは大丈夫だからさ。それに……」



私は手に持っていたスマホの画面を開き、着信履歴を開いた。


「イノウエ……ショウタ」



名前の漢字が分からなかったから、カタカナで登録した電話番号。

会いたかったと言っていたのがなんだかむずがゆくって、彼に帰る日を伝えられないでいた。



「なんだ?そいつがどうした?」



仁成兄ちゃんは、私のスマホを覗き込むように見てきた。



「ちょっと、勝手に見ないで!運転中なんだから前見てよ!!」



私に怒られた仁成兄ちゃんは、「だってよぉ……」と言ってしゅんとしながら、目線を元に戻した。