だって、誰かにあわせないと、はぶられるもん。 樹理とはクラス別だから、私のクラスには、余り親しい友だちはいない。 「坂井ー!」 坂井とは、私の名字。 「全校合唱やるみたいだから、楽譜よろしくだって」 「ありがとー」 「あー、裕那、ピアノやるんだっけ? がんばりなよ?センパイにいいとこ見せる最後のチャンスなんだから」 最後のチャンス……。