「莉子、浮気してんの?」
突然、彗が目の前に現れた。
「…彗?!」
なんか…とても怒っているんですが…。
あたし、何も悪いことしてないよ?!
「彗先輩?!」
「何で、ここに?!」
彗は、1年生をにらんで、あたしのとこに来た。
「大丈夫か?何もされてねー?」
「う、うん」
「だから、部室に居させたくなかったんだよ…。」
「…彗?」
彗が何を考えてるのか、よく分からないけど、心配してくれたっていうのはちゃんと分かる。
「お前らさー、俺の大事なやつに手出したら許さねーから」
いつもあたしと一緒にふざけてる、彗がこんな真剣な顔をしたのは、初めて見た…。
それに…俺のって…あたしのことだよね…?
あたしは…彗のものではないんですけどね…。
なんて、今は冗談も言えないくらい、いつもと違う彗にドキドキしてる…。
「彗先輩の彼女?!」
「や、やばくね…」
「「すっすいませんでしたー」」
走って部室から出て行った1年生たち。
彼女じゃないのにって思ったけど、さすがに言える空気じゃないし…。
「…莉子」
「な、何?!」
「…無防備にすんな、もっと気をつけろ」
「うん…ありがとう」
「…よし!今日は終わったから帰んぞ!」
急にいつもの彗に戻って、なんか安心する。
「なんか…びっくりしたよ…彗じゃない!って思ったし…かっこ良かったし…」
「は?なんだよ、急に」
「まあ、とにかく早く着替えてきてー」
その後、、
あたしは、ドキドキ言ってる心臓を、必死におさえた。
彗にドキドキするなんて…なんか恥ずかしいんですけど…。
落ち着けよ!!!私!!!
あれは、彗なんだから!!!
いつも家に勝手に入ってくる彗なんだから!!!!
なんか熱い…外で涼もう…。
部室から出ると、バスケ部が練習をしてる声が聞こえる。
頑張ってるんだよなぁ。
そういえば、彗が、期待の新人が入ったって言ってたっけ?
あんなに上手い彗が言うんだから、相当だよね。
どんな子だろう?
会ってみたい。
「やっぱり暇だなぁ…」
毎日こうやって、何もせずに待ってるなんて、楽しくない…。
あたしも何か、始めようかな…。
そう考えていた時、神様があたしに意地悪をした。
再会するなんて、あたしは望んでないのに。
そして何より、これから起こるすべてのこと神様からの試練だったのかも。

