ゆえん


ゴールデンウィーク明けから、幼稚園ではお弁当を持っていくようになったらしい。

今日は午前中から、主婦たちが『You‐en』を賑わせた。

話題が盛り上がってくると、音声が高くなってくる主婦たちの会話は、聞く気がなくても耳に入ってくる。

一通りお喋りをすると、ここではランチは出来ないので、と帰っていく。


その後、ちらほらと午後のティータイムを楽しみにやって来る人がいるものの、メニューが少ないことと、セルフサービスのシステムをとっていることで、さほど忙しくなかった。

中高校生がやってくるまでは、冬真にとってしばしのリラックスタイムが持てた。


午後四時になる頃、また『You‐en』に人が集まってくる。

楽器を背負った学生たち、デザート好きな女の子たち等だ。この時間帯になると、楓が顔を出してくれる。


「おはよう。冬真君」

「おはようございます。今日は大丈夫ですよ。俺一人でも」