「……明日、お店に朝の九時半に来なよ。その時話を聞くよ。今日はもう遅いから家に帰ったほうがいい」 「……家には入れたくない、だね。わかった。明日九時半ね。……店長さん、あの……」 「なに?」 「店長さんが、岸田冬真なんだよね」 「そうだけど」 理紗は何度も口を開きかけては、言葉を飲み込んでいるようだった。 暗がりの中でも、理紗の表情が強張っていくのを冬真は感じた。 「どうした?」 少しずつ後退りながら、理紗は首を横に振る。 「……明日にする」 そう言って理紗は駆け出して行った。