ゆえん



星空の下を歩きながら、今朝浩介が言ったことを冬真は考えていた。

自宅に着くと、玄関先に理紗が紙袋を持って立っていた。


「昨日掛けてくれたシャツ、持ってきたの。ちゃんと洗濯もしたから」


ぺこっと頭を下げ、理紗は冬真に紙袋を差し出す。


「ありがとう」


冬真が受け取った後も、理紗は紙袋を放そうとしない。


「なに?」

「ちゃんと帰るから、話したいことが」

「……修二のことか」

「浩介さんから聞いたのね」

「俺と修二のこと、知ってたの?」

「昨日、店長さんが救急箱を取りに行ったとき、アルバムを見ちゃったんだ。修ちゃんの写真があってびっくりした」

「アルバムを、勝手に見たのか」

「ごめんなさい。どうしても気になることがあって」


自分でもわかるほどに、冬真は不愉快な表情をした。

さすがに理紗も悪いと思ったのか、頭を低くしていた。